2015年2月6日金曜日

学校の先生は学習指導要領に従わなければいけないのか

 学習指導要領ってご存知でしょうか。
 まぁ名前だけは聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。
 コレはいったいなんだろう、というのが今日のお話です。
 まず、「学習指導要領って何?」というところからですが、
 ズバリこれは「告示」です。
 そもそも、例えば小学校の場合、学校教育法29条に「目的」、30条、21条各号に「目標」が定められている、というお話は以前書いたと思います。
 そして、33条で、「小学校の教育課程に関する事項は、第29条及び第30条の規定に従い、文部科学大臣が定める。」としています。
 ここまでが法律です。
 それを受けて、文部科学大臣が学校教育法施行規則を制定し、その52条で、「小学校の教育課程については、この節に定めるもののほか、教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する小学校学習指導要領によるものとする。」としています。
 ここで初めて小学校の学習指導要領が出てきます。
 で、いわゆる国家行政組織法14条1項にいう「告示」として、文部科学大臣が学習指導要領を公示しているわけです。
 こういう話のことを、「法的根拠」といいます。
 では、本題の、学校の先生は学習指導要領に従わなければいけないのか、という話ですが、これは「学習指導要領に法的拘束力が認められるか」という論点になります。つまり、認められるなら従う義務がありますし、認められないなら従う義務がない(まぁ努力義務とかありますが割愛)ことになるわけです。
 結論から言うと、争われています。つまり、肯定派と否定派がいるわけです。当然といえば当然ですが・・・。
 否定派は例えば、学習指導要領自体が憲法に違反しているから当然に法的拘束力は認められない、という説(指導助言文書説)です。
 肯定派は、教育内容について適正・中立、均等化・一定水準の必要性、などから国の設定権限を認める、という見解です。
 では、実際にどうなっているのか、という話ですが、判例は、否定説の中の「大綱基準説」と採っていると考えられています。
 すなわち、学校教育法の規定から文部科学大臣は、地方自治を侵害せず教育課程編成権を不当に支配しないように大綱的な基準を定められるのであって、(一応権限は認めるが)現行の学習指導要領は細かすぎる、という立場です。
 これだけ聞くと「否定説なら法的拘束力がないから守らなくていいんだ~」となりそうですが、そういうわけではなく、法的拘束力自体は認め(必要かつ相当と認められる範囲内において、教育内容についてもこれを決定する権限を有する)、指導要領自体も「全体としてみた場合」「少なくとも法的見地からは」「必要かつ合理的な基準の設定として是認することができる」としています。これは、逆に言うと、内容によっては法的拘束力を持たないこともありうることを示していると言われています。
 結局、学説によって意見がわかれている、というのが現状で、裁判所もクッキリハッキリとは示していないようです。
 皆さんはどう考えられますでしょうか。
 ちょうど道徳についてパブコメが募集されているので、送ってみるのもいいかもしれませんね。