2015年2月27日金曜日

地域猫シンポジウム2015


neko2015 本日は、東京都行政書士会行政書士ADRセンター東京の地域猫シンポジウム2015が渋谷の行政書士会館地下講堂にて開催されました。
 非常に多くの方にお越し頂き、大盛況のうちに閉会いたしました。
 お越し頂きました皆様、ありがとうございました。
 ユキマサくんも大人気でした。

2015年2月26日木曜日

無事、研修の講師を務め終えました。


150226adrtt 私のパートであった2日目前半の講義を本日無事終了いたしました。
 当たり前の話ではありますが、講義の目的・目標をしっかりと最初に伝え、講義の組み立てそのものを受講生に意識して頂けるように特に強調した内容にさせて頂きました。
 講義後アンケートに回答頂き、感想等を頂きましたが、お伝えしたかったところは概ね伝わり、満足いただけたようでしたので、ほっと一安心です。
 夜の懇親会も、普段接することのできない各単位会の方とお話することができ、自分自身もとても参考になるお話を伺うことができました。
 関係者の皆様ありがとうございました。
 明日は最終日ですが、自分のパートを終えて講義のサポートなので、少し気が楽です。
(写真は参加者のプライバシー等に配慮し、一部加工させて頂いています。)

2015年2月23日月曜日

信号のない海の上の交通ルールはいったいどうなっているのか


maritime traffic rules 当たり前の話ですが、海上には陸にあるような3色信号機はありません。夜間航行などのときのために、船に取り付けなければならないライト(航海灯)などについては様々な決まりがあります。
 今日はそんなところのお話です。
 まず、航海灯ですが、海上衝突予防法で設置が義務付けられています。
 船の大きさなどにより灯火の色や数が異なってくるのですが、基本的には、船の中心線上にマスト灯(白色)、左舷と右舷には舷灯(右舷が緑で左舷が赤)、船尾には船尾灯が設置されます。
 全長50m以上の船(動力船)には、船の前部と後部にマスト灯をそれぞれ設け、後部の方を高くしなければなりません。
 また、小型船などは全周灯で代用することも可能だったりと細かく定められています。
 これによって、夜間などの視界が悪い時でも、船の方向がわかるようになっています。
 また、船同士の衝突を防止するために、航法も定められています。
 例えば、海上衝突予防法14条1項では、
2隻の動力船が真向かい又はほとんど真向かいに行き会う場合において衝突するおそれがあるときは、各動力船は、互いに他の動力船の左げん側を通過することができるようにそれぞれ針路を右に転じなければならない。(ただし書き以下略)
 と定めており、これは、お互いに正面から進んできたときは、どちらも右に舵を切りましょう、ということです。
 他にも、同15条では、
2隻の動力船が互いに進路を横切る場合において衝突するおそれがあるときは、他の動力船を右げん側に見る動力船は、当該他の動力船の進路を避けなければならない。(後半省略)
 と定めており、進路が例えば90度の角度で交差するようなときは、相手の船が右に見える方が舵を右に切るなどして回避する義務がある、ということになります。
 このように、船舶は基本的に右側通行、右側優先というルールになっています。
 追い越しをするときも、原則として右側から追い越さなければなりません。
 また、船の種類が異なる場合には、航行の自由度が低いほうが優先されることになっています。
 すなわち、故障して運転ができないような船は回避しようがないので、優先度が高いことになります。
 例えば、
優先度高←故障船などの運転不自由船>浚渫船など>操業中の漁船など>帆船>動力船→優先度低
 のようになっています(優先度の低いほうが回避義務がある)。
 いろいろ興味深いですね。

2015年2月22日日曜日

保健室の先生に求められる新しい役割


school nurse 保健室の先生、というと皆さんいろいろと思い出がありそうな気がしてなりませんが、正直自分はあんまり覚えていません。
 あまり大きな怪我などしたことがなかったからでしょうか。
 保健室に出入りしている女の子の友達はいました。高校のときは保健室ではなく音楽室に出入りしていたのを今思い出しました。
 とりあえず今日もそんなどうでもいい話題から入ってみました日曜の夜です。
 保健室の先生は、法律的には「養護教諭」といいます。
 養護教諭は学校教育法37条12項に根拠があり、必ず置かなければならない職とされています(ただし、養護をつかさどる主幹教諭が置かれている場合は置かなくても良い)。
 養護教諭は「児童の養護をつかさどる」とされており、養護とは「児童生徒の健康を保護し、その成長を助けること」とされています。
 ちなみに、保健室というのは学校保健安全法7条により「健康診断、健康相談、保健指導、救急処置その他の保健に関する措置を行うため」に設けられています。
 多くの場合、養護教諭は「保健主事」(主事や主任に関してはいずれ別のエントリで)も兼ねており、学校の保健に関する事項の管理を担当しています。
 戦前の「学校看護婦」から始まっているとのことですが、養護教諭の免許状が必要とされています。
 児童生徒の身体面のほか、学校での健康管理や衛生管理、傷病対応などで役割を果たしてきましたが、平成20年に学校保健法が学校保健安全法に改正され、新たに「保健指導」という役割を担うことになりました。
学校保健安全法9条(保健指導)
 養護教諭その他の職員は、相互に連携して、健康相談又は児童生徒等の健康状態の日常的な観察により、児童生徒等の心身の状況を把握し、健康上の問題があると認めるときは、遅滞なく、当該児童生徒等に対して必要な指導を行うとともに、必要に応じ、その保護者(学校教育法第16条に規定する保護者をいう。第24条及び第30条において同じ。)に対して必要な助言を行うものとする。
 ココでのポイントは、、学級活動や学校行事などの場合の集団を対象とした従来のものではなく、個別の指導が求められるようになった、というところです。
 1980年代以降のいじめや不登校の増加から、「保健室登校」などのキーワードにも分かるように、心の問題をサポートする役割を保健室は果たすようになってきました。
 養護教諭にも、カウンセリング能力やメンタルヘルスに関する知識などが必要とされるようになり、今後よりいっそうの活躍が期待されています。
 ・・・ちょっとマジメな感じで締めてみました。

2015年2月20日金曜日

目の見えない方が遺言書を作成する方法


flower2 遺言の方法には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言、がありますが、目の見えない方にとって、前の2つは実質的に作成が困難かと思われます。
 したがって、一般的には公正証書遺言の方法を選択することになるでしょう。
 この場合も、遺言者の署名ができないのではないか、という心配があるかと思いますが、公証人法39条4項で、公証人は嘱託人(公正証書を作成して欲しいとお願いする人のこと)が署名できない場合に、その旨を記載して押印することができることになっています。
 さらに、民法969条4号でも、公正証書遺言において遺言者が署名できないときは、公証人が事由を付記して署名に代えることができる、とされています。
 実務上は、公証人が遺言者の氏名を代署し、署名できない理由を付記して職印を押印する、という処理になっているようです。
 ちなみに、公証人法30条において、遺言にかぎらず公正証書の嘱託人が目の見えない方の場合、立会人の立会が必要とされていますが、公正証書遺言の証人2名とこの立会人は兼ねることができるため、別に立会人を用意する必要はありません。
 なお、「口のきけない者」「耳が聞こえない者」については、民法969条の2において定められています。
(公正証書遺言の方式の特則)
第969条の2 口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第2号の口授に代えなければならない。この場合における同条第3号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。
2 前条の遺言者又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第3号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。
3 公証人は、前2項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に付記しなければならない。
 つまり、「口がきけない者」「耳が聞こえない者」は通訳人を介して遺言を行う、ということになります。

2015年2月19日木曜日

用途変更した建物を営業倉庫として使う場合には


souko 倉庫業の登録をするときに、まず最初にハードルとなるのは、建築基準法に適合した建物かどうか、というところです。
 つまり、倉庫業の登録を受ける場合にはその前提として、建築基準法上違法な状態でないことが必要となります。
 具体的には、建築確認の検査済証等がきちんとあるかどうか、というお話になるわけです。
 なお、例えば工場などとして使っていた建物を用途変更して営業倉庫として使用するケースで、用途変更の場合は建築基準法に基づく完了検査は行われません。
 したがって、この場合は、「倉庫業を営む倉庫」としての用途が確認できる、建築基準法に基づく確認済証等を添付させればよい、という運用がなされています。
 今日は短いですが、ちょっとした倉庫業登録のポイントのご紹介でした!

2015年2月18日水曜日

建設工事を支える技術者の制度


gijyutusya 建設業は、住宅からインフラまで、生活環境という側面で私たちの日常生活に大きく関わっている事業であると言えます。
 特に事業の特性としては、一品物のため事前に品質を確認しづらいことや、多くの事業者が関わるのでマネジメントが必要になること、主に屋外・現地で行う生産活動であること等が挙げられるでしょう。
 そんな中、建設業のクオリティを支える制度として、技術者制度というものが定められています。
 今回はその技術者制度についてざっくりご紹介したいと思います。
 御存知の通り、建設業の許可を受ける場合には、その要件の一つとして専任技術者の設置が求められています。
 この「専任技術者」は、建設業法7条2号、15条2号に基づくもので、許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、一定の要件に該当する方を充てなければいけないことになっています。
 これは、建設工事に関する請負契約の適正な締結・履行の確保を趣旨としていますので、基本的には契約締結業務を行う営業所(建設業法上の営業所)に常勤していなければなりません。
 コレに対して、よく混同する概念として、配置技術者の制度があります。
 建設業の許可業者は、請負金額の多寡にかかわらず、請け負った建設工事については必ず現場に「主任技術者」を置かなければなりません。
 また、発注者から直接工事を請け負い、一定額以上を下請契約して工事を行う場合には、「主任技術者」の代わりに「監理技術者」を置かなければなりません。
 この、「主任技術者」「監理技術者」という制度は、建設業法26条に基づくものですが、名前がほぼかぶってる上に、なるための資格要件についても、許可の際の「専任技術者」と同じなので、よりいっそう混同してしまいがちです。
 しかし、こちらの「主任技術者」「監理技術者」という制度の趣旨としては、工事現場において工事の施工がスムースに行くようにするためのものなのです。
 さらにややこしくなるのですが、この「主任技術者」と「監理技術者」を「専任」させなければならない工事、があります。
 それが、「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事(で政令で定めるもの)」です。
 これは、細かくは建設業法施行令27条1項により定められていますが、個人住宅を除いた2500万円以上(建築一式工事の場合は5000万円以上)のもののほとんどの工事がその対象になっています。
 そして、これらの現場の「主任技術者」「監理技術者」は「営業所の専任技術者」とは原則として兼ねることができません。
 この辺の概念が、混同して分かりにくいので、よく整理していただくと良いかと思います。

2015年2月16日月曜日

登記簿には甲区、乙区のほかに丙区があった!(今もあります)

 たまに、登記をできるのは司法書士だけだと思っている人に出会うことがあります(あ、別に批判とかじゃないので・・・)。
 司法書士さんはもちろん登記ができるのですが、表示の登記に関しては土地家屋調査士さんのお仕事になります。
 また、いろいろ争いも過去にはあったようですが、弁護士さんも本人の代理人として登記を行うことができます。
 しかし、いつも忘れられている(ような気がする)のは、海事代理士も登記ができる、ということです。
 海の法律家、と言われる海事代理士は、船舶の登記を行うこともその業務の一つになります。
 御存知の通り、不動産登記記録には、表題部、権利部があり、権利部は甲区(所有権)と乙区(所有権以外)に分かれているのですが、明治時代に成立した旧不動産登記法には、いわゆる甲区、乙区のほかに、丙区、丁区、戊区があったそうです。
 すなわち、土地の登記簿の権利部は、甲区(所有権)、乙区(地上権・永小作権)、丙区(地役権)、丁区(先取特権・質権・抵当権)及び戊区(賃借権)の5区、建物の登記簿の権利部は、甲区(所有権)、乙区(地役権)、丙区(先取特権・質権・抵当権)及び丁区(賃借権)の4区をもって編成されていました。
 現在は甲区と乙区しかない、と認識されがちですが、実は、
船舶登記簿には未だに「丙区」があります。
 あまり知られていませんが、船舶登記簿(正確には船舶登記記録)には丙区として船舶管理人に関する登記事項が記載されており、今もきちんと機能しています(船舶登記規則2条3項)。
 船舶管理人とは、船舶を共有している場合に選任しなければならない人で、一定の行為を除いて船舶の共有者に代わって船舶の利用に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有しています。
 船舶関係だから船舶安全法などで定められているのかと思いきや、実はこれは商法を根拠にしています。
 商法の699条でその選任を、700条でその権限を定めています。
 船舶管理人ができない「一定の行為」とは、以下の5つです(商法700条1項)。
一 船舶ノ譲渡若クハ賃貸ヲ為シ又ハ之ヲ抵当ト為スコト
二 船舶ヲ保険ニ付スルコト
三 新ニ航海ヲ為スコト
四 船舶ノ大修繕ヲ為スコト
五 借財ヲ為スコト
 実務でも、船舶管理人が出てくるケースは割とよく目にします。
 船舶登記簿謄本も不動産登記簿謄本と同様、誰でも取得できるものですが、不動産と違い、場所から特定することはできないのと、コンピュータ化されてないため船籍港の法務局でないと取れないので、取るのは少しハードルが高く、目にする機会も珍しいかもしれません。
 もし知り合いの方で、見てみたい方がいらっしゃったらお声がけください。

2015年2月15日日曜日

面。とにかく面。面をまずはちゃんと打てるようになるのだ!(とよく言われます)

 今回は、剣道の試合のルールについてまとめてみました。
 剣道の試合のルールですが、全日本剣道連盟の「剣道試合・審判規則」及び「剣道試合・審判細則」にいろいろと定められています。
 まず、試合時間は5分、延長の場合は3分が原則です。で、3本勝負で2本先取した方が勝ちです。延長戦の場合は1本先取(6条、7条)。
 では、どうすれば1本となるか、ですが、1本すなわち「有効打突」となるのは、「充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心ある」場合です(12条)。
 竹刀の打突部は「物打を中心とした刃部(弦の反対側)」とされています(13条)。
 打突部位は、次のとおり。
1.面部(正面および左右面)
2.小手部(右小手および左小手)
3.胴部(右胴および左胴)
4.突部(突き垂れ)
 図解もされています(14条、細則13条、第3図)。
 こんな感じ。
 面と小手については、細則でもう少し細かくされていて、
1.面部のうち左右面は、こめかみ部以上。
2.小手部は、中段の構えの右小手(左手前の左小手)および 中段以外の構えなどのときの左小手 または右小手。
 となっています(細則13条)。
 さらに「刃筋正しく」とは、「竹刀の打突方向と刃部の向きが同一方向である場合」とされています(細則10条)。
 規則13条と意味が重複しているような気もしますが・・・。
残心」については、12条の他には出てきません。これもなかなか表現しにくいところですね。やってれば体感できますけど。
 他には、「禁止行為」というのがあります(15条以下)。足払いをしたり、自分の竹刀を落としたり、ですね。禁止薬物の使用や審判員に対する非礼な言動は、それだけで2本負け(+退場)となってしまいます。不正用具の使用も2本負け、その他の禁止行為は反則を取られ、2回の反則で相手に1本入ります。
 当然ですが、審判についても細かく定められています(割愛)。
 審判は3名いるので、原則2名以上が有効打突と認めなければ1本とはなりません(26条)。
 ・・・とまぁこのように、細かく定められています。こういうの、試合する前にちゃんとレクチャーされると良いのではないかと個人的には思いますが、あまり現場ではされません。審判の旗の表示とか、選手が知らないと試合にならないのではないかと心配したりします。
 ちなみに、25条で「係員」というのが決められているのですが、これらは「時計係」「掲示係」「記録係」「選手係」の4種に分かれています。実は昨年の区の大会でお手伝いとして参加したときに、いつのまにか役割をふられており、試合デビューする前に図らずも係員デビューしてしまっていたのでした・・・(「選手係」でした)。

2015年2月14日土曜日

「建設工事の請負契約」でなければ建設業法の規制から免れられるのではないか、と考えられた方へ

 建設業法上は、「建設業」とは「元請、下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業」と定義しています。
 つまり、いわゆる「請負契約」なのです。
 請負契約とは、民法632条にあるように、
 当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる
 契約のことを言います。
 ここでポイントなのは、仕事を完成させる必要があることです。
 仕事を完成させなければ、債務を履行したことにはならないので、その対価としての報酬を得ることはできません。
 似た契約に、雇用契約や委任契約があります。
 雇用契約は、同じく民法の623条に記載されています。
 雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。
 つまり、仕事を完成させることは契約の要素にはなっていないのです。
 また、委任契約は民法643条に定められています。
 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
 やっぱり、仕事の完成は契約の要素にはなっていません。
(写真は記事とは無関係です)
(写真は記事とは無関係です)
 お分かりかと思いますが、例えば同じ行為をしていたとしても、その契約が、請負なのか、雇用なのか、委任なのか、契約書をよく読んでみないと分からない、ということがあり得るわけです。
 しかし、世の中には、いろいろなケースがあるわけで、常にちゃんとした契約書がある、というわけではありません。
 タイトルと中身が乖離した契約書も、やっぱり実務上は結構見られます。
 また、契約形態は取引に応じて千差万別なわけで、法律で定められている契約の形態しか許されないわけではありません。
 したがって、単純な契約タイトルの間違いばかりではなく、業務委託契約とか、製作物供給契約とか、世の中にはいろいろな契約が存在しています。
 ここで、建設業法が規制しているのが、「建設工事の請負契約」であるなら、契約書のタイトルを少し変える、いや、そもそもちょっと契約形態を工夫すれば建設業法の規制を免れて業務ができるのではないか、と考える人が現れても不思議ではありません。
 そこで、建設業法では、24条で
 委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。
 と定めており、いかなる名称であっても、脱法行為を防ぐ目的で「建設工事の請負契約」とみなしますよ、ということを謳っているわけです。
 というわけで、脱法行為はしないように気をつけましょう。
 ちなみに、製作物供給契約により建設工事の完成を約する契約も規制は免れませんのでお気をつけください。

2015年2月13日金曜日

「もういっぺん言ってみろ!」と「もう一度仰って頂けますか?」は明らかに違うけど

 今読んでる集合知の本の中に、興味深いことが書いてありました。
 「極性化の進んだ集団では、言動の動機が疑われる場合が多い」
 極性化というのは、分断と細分化が強まって、自分と異なるものを「他者」「異端」「危険」と見るような状態だそうです。
(画像はイメージです)
(画像はイメージです)
 本日は、行政書士ADRセンター東京の調停人候補者実務研究会が今年度最後だったので、遅れながらも参加したのですが、調停ロールプレイを見ながら、集団でなくても同じようなことが言えるなぁと漠然と感じていました。
 同じ言葉を発していても、状況によって意味も受け取られ方も違います。
 例えば、「なぜそんなことをしていたんですか?」というセリフも、純粋な疑問からの質問と受け止められる場合もあれば、答えはわかっているのにあえて責める意図で口にしている、ということがあると思います。
 今日の研究会の事例はペットトラブルだったのですが、「今後も犬を飼い続けるつもりなんですか?」という一方当事者のセリフが、明らかに悪意に満ちている(あなたに犬を飼う資格なんかない、というようなニュアンス)のに、調停人が純粋な疑問からの質問(今後の予定としてどうなのか)と受け止め相手に答えを促したので、当事者間に溝が深まったような気がしました。
 外から見ている分にはよく分かりますが、やはり自分で臨まないとダメですね。自分自身、トレーニングの必要性を強く感じました。
 近いうちに機会を設けて行いたいと思います。

2015年2月12日木曜日

小さな女の子やお年寄りが大型犬を散歩させているとドキッとします(恋ではない)。

 今日は動物関係のお話です。
 行政書士としては動物に関係する手続を取り扱いますが、調停人を務める行政書士ADRセンター東京ではペットトラブルを扱っています。
 ここ数年、愛護動物に関する紛争分野の調停人になるための研修で、講師をさせて頂いていることもあり、動物関係法令やペットトラブルについて人前で話す機会がたくさんありました。
 意外に思われるかもしれませんが、動物に関係する法律というのは結構たくさんあり、所管する官庁も多いです。
 一般的には、やはり環境省所管の動物愛護法が一番に思い浮かぶかと思いますが、そもそも動物と人の関わりとしては愛護動物よりも家畜としての歴史のほうが古く、産業動物に対するルールのほうが成り立ちは先になります。
 愛護動物に関する紛争分野の調停人になるために講義で学ぶ法令としては、そういった産業動物に関するものよりもやはり愛護動物、ペットに関わる法令を優先しています。
 動物愛護関係法令と言っても、動物愛護法に限らず、動物愛護法施行令、動物愛護法施行規則、動物愛護条例、動物愛護条例施行規則、動物取扱業者や特定動物に関する各細目、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準を始めとする各基準、住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン、ペットフード安全法、狂犬病予防法、狂犬病予防法施行令、狂犬病予防法施行規則、鳥獣保護法、特定外来生物法、化製場法、消費者契約法、遺失物法などをひと通り学ぶことになります。
 他にも、講義で扱うことはあまりありませんが、獣医師法、獣医療法、医薬品医療機器等法、家畜伝染病予防法、感染症予防法、検疫法、身体障害者補助犬法、種の保存法、生物多様性基本法、自然環境保全法、文化財保護法、と畜場法、などを自主的に見ておいて頂くことをオススメしています。
 個人的には、海の関係の水産資源保護法とか、漁業法なども動物に関する法律という視点から見て興味深いと思っています。
 次に、ペットトラブルという視点から見ると、また違ったフレームで捉えることができます。
 ペットトラブルは一般的に次の5種類に分類されることが多いです。
1.売買等トラブル(ペットショップなど)
2.咬傷事故
3.近隣紛争(鳴き声、臭い、糞尿など)
4.医療事故
5.その他
 以前は裁判になることも稀で、悪質な医療事故などを除くとなかなか動物関係の裁判例は少なかったのですが、最近はかなり増えてきて、新聞やニュースなどでよく事例を目にするようになりました。
 ペットブームということもあり、犬や猫を飼う人も増えてきているので、それに伴ってトラブルも増えているようです。
 マナーはなかなか求めにくいですが、せめてルールは守って飼って頂きたいと思っています。
 そして、大事なことは、飼う人はもちろんのこと、飼わない人にも動物の飼養に関するルールはぜひ知って頂きたいということです。
 例えば、東京都では、ノーリードの犬の散歩は禁止されています。放してよいのはドッグランなど一部の施設に限られています。
 未だ近所でもノーリードの方をたまに見かけますが、咬傷事故等(逆に飼犬が交通事故に遭う可能性もあります)があってからでは遅いので、リードはぜひ着用していただきたいものです。
 もう少し詳しく言うと、「犬を制御できる者」が行う必要があるため、リードをつけていても制御できなければ文言上は条例違反になってしまいます。
 まぁ違反するからダメ、というよりは、事故等の危険を防止するためと考えたいと思いますが、飼主の方はぜひご留意頂ければと思います。
 飼う人も、飼わない人も、お互いに受け入れられる社会になることを願っています。

2015年2月11日水曜日

毎日届く郵便や宅配便を支えているシステムとして、事業者の方以外にも知ってほしい制度

 輸送には、自動車のほか、鉄道、飛行機、船舶などの手段があり、それぞれが長所と短所を持ちながら成立しています。
 その上で、輸送コストや、質、需要と供給の関係、などによって、適切な手段が選択されることになります。
 自動車輸送に関しては、機動性、経済性、柔軟性の面において、それぞれ特徴があるといえるでしょう。
 すなわち、全国に敷かれた道路網によって、道路さえあれば自動車は全国どこへでも行くことができ、戸から戸への直接輸送が可能であるという機動性を備えていますし、大型化には限界があるものの、少量の貨物、少数の旅客を多くの頻度で輸送しなければならない場合に経済効率が高いという経済性もあり、さらに特殊な車両を除いて運転者も車両の種類、数も豊富のため、容易に依頼が可能であるという柔軟性も備えているのです。
 こうした輸送サービスに対しては、安全性、正確性、迅速性、経済性、利便性、快適性、低公害性、などの様々な性質が求められることになりますが、中でも最も重要視されるべきは安全性です。
 旅客・貨物を問わず、輸送の大前提として、安全であること、が挙げられ、様々な形で安全のための取り組みが行われています。
 自動車運送事業では、運行管理者という制度を置き、安全な運行管理が行われるように努めています。
 この運行管理者の役割は、自動車輸送の安全運行の確保と交通事故の防止を図ること、とされており、事業者に対して、規模に応じて適切な人数を配置するよう法律で定められています。
 運行管理者には、事業者に代わって運行の安全確保に関する業務を行い、事故を防止する使命と責任が課せられているといえるでしょう。
 国の定める運輸安全マネジメントの法体系は、以下のようになっています。
運輸安全マネジメントに係る法体系
旅客自動車関係(バス・ハイタク)貨物自動車関係(トラック)
法律道路運送法貨物自動車運送事業法
省令旅客自動車運送事業運輸規則貨物自動車運送事業輸送安全規則
告示旅客自動車運送事業に係る安全マネジメントに関する指針貨物自動車運送事業に係る安全マネジメントに関する指針
旅客自動車運送事業者が従業員に対して指導及び監督を行うために講じるべき措置貨物自動車運送事業者が従業員に対して指導及び監督を行うために講じるべき措置
旅客自動車運送事業者が公表すべき輸送の安全に係る事項貨物自動車運送事業者が公表すべき輸送の安全に係る事項
通達自動車運送事業者における運輸安全マネジメント等の実施について
 最近は、大きな事故の発生などにより自動車運送事業について規制が強まっておりますので、法令改正等の動きには注意したいと思っています。

2015年2月10日火曜日

副校長先生とはいったい何者なのか・・・子どもの頃はいませんでしたよね?

 学校の先生、と一口に言っても、実は法律的にはいろいろな種類の先生がいるのです。
 今回は小学校のケースを例に、校長、教頭、副校長について少しご紹介したいと思います。
 まず、学校教育法37条において、学校に置かれる教職員について定められています。
 これによれば、小学校には次の職員がいます。
 校長、教頭、教諭、養護教諭、事務職員
 これらは原則として必ず置かなければなりません(特別の事情があるときは、教頭と事務職員は置かないことができる)。
 また、「置くことができる」という職員もあります。次の方々。
 副校長、主幹教諭、指導教諭、栄養教諭、その他必要な職員(非常勤講師、学校栄養職員、学校医、学校用務員など)
 これらの職員を設置する判断は、教育委員会が担っています。
 最近よく耳にする「副校長」先生は、必置ではないんですね。なんとなく教頭先生と混同されてませんでしたでしょうか。
 ここでお気づきかもしれませんが、学校の教職員は、「教育に携わる職」と「教育以外の業務に携わる職」に分けることができます。
 そして、前者の「教育に携わる職」の方を「教員」と呼びます。ここで、教育基本法上は全て「教員」なのですが、学校教育法や教育公務員特例法などでは「校長」と「教員」を分けています。教育法規的には、分けるほうが一般的なようです(校長と教員を合わせて「教育公務員」と呼ぶ場合もあります)。

校長の役割

 校長は、学校という教育機関の長として、かなりの自律経営責任を負っていると言えます。
 学校教育法では37条4項において、
校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する
 と規定しています。
 この、校務をつかさどる権限を「校務掌理権」といい、この中には、
1.学校教育の管理(教育課程、生活指導など)
2.所属職員の管理(人事、評価など)
3.学校施設の管理
4.学校事務の管理
 が含まれていると言われます。
 また、所属職員を監督する権限を「所属職員監督権」といい、学校で働くすべての職員に対し、職務・行動を監視し、必要に応じて指示・命令を出すことができます。
 具体的には、
1.職務上の監督(勤務時間中における「職務専念義務」などの監督)
2.身分上の監督(勤務時間の内外を問わない「信用失墜行為の禁止」などの監督)
3.能力上の監督(心身の健康、適格性の維持などの監督)
 が含まれていると言われています。
 この「校務掌理権」と「所属職員監督権」を備えた校長先生は、まさに、名実ともに学校におけるリーダーであるわけです。
 校長の職務としては、その他に、
1.出席簿の作成、授業収支の時刻の決定、教科用図書の児童・生徒への給付など教育課程に関するもの
2.出席状況の把握、指導要録の作成と送付、卒業証書の授与など学籍関係に関するもの
3.児童生徒への懲戒など生徒指導に関するもの
4.非常変災等による臨時休業、感染症防止のための出席停止、学校安全計画の策定など学校安全に関するもの
5.勤務場所を離れての研修の許可など教職員に関するもの
6.職員会議の主宰、学校評議員の推薦など学校運営に関するもの
7.勤務時間の割り振り、年次休暇等の承認、学校施設の目的外使用の許可など教育委員会の委任・命令を受けて行うもの
 と、様々なものがあります。

教頭の役割

 教頭は、原則として必ず置かなければならない職ですが、副校長を置いたり、特別の事情がある場合は置かなくても良いとされています。
 役割としては、「校長を助け、校務を整理し、必要に応じ児童の教育をつかさどる」とされています。
 つまり、ここには3つ書かれていて、
1.校長の補佐=校長の職務全般に関して情報収集・提供をし、助言・提案を行う、校長の経営方針等を教職員に周知する、必要に応じて指導・助言等を行う
2.校務を整理=校長が所掌する業務全般について、総合的に調整する、校長と教職員とをつなぐ
3.児童の教育をつかさどる=授業を担当することも想定されている
 ということが言えると思います。
 ちなみに、校長の職務の代理・代行も教頭の重要な役割の一つです。
 代理については、例えば校長の長期の海外出張、病気療養など在職はしているが職務を執行できない場合に、校長の職務を代わりに遂行します。この場合、校長が行ったのと同一の効果が生じ、責任も校長に帰属することになります。
 代行については、例えば校長が死亡、退職、免職などで不在となり、後任が就いてない場合に、校長の職務を代わりに遂行します。この場合は、校長が行ったのと同一の効果を生じさせますが、教頭が校長と同一の権限を保持していることになり、責任は教頭に帰属することになります。

副校長の役割

 学校の経営陣として、平成19年の学校教育法の改正により副校長が新しく仲間入りしました。これは、校長のリーダーシップを発揮しやすいように、学校組織を階層構造にして組織運営の充実を図ることを狙いとしていると言われています。
 副校長は、「校長を助け、命を受けて校務をつかさどる」とされています。
 ここで、「校長の補佐」というところは教頭と同じですが、「命を受けた範囲で」という制限はあるものの、校長と同じ校務掌理権が付与されていることになります。
 なお、教頭のように「児童の教育をつかさどる」という文言は入っていませんが、授業を担当できないわけではなく、免許状を有していればその授業を担当することは可能です。
 また、代理・代行に関しては基本的に教頭と同じですが、副校長と教頭の両方を設置していた場合には、副校長のほうが優先されます。
 この、副校長という職が、近年規模の大きな自治体で普及しているようです。
 他の教職員の方々もご紹介したいのですが、長くなってしまうので次の機会へ続きます。

2015年2月9日月曜日

調停をはじめるときに、伝えなければならないことは?

 メディエーション(対話促進型調停)においては、調停を始めるときに、当事者を前に調停人が挨拶をするのがセオリーになっています。
 ここで言うべきこと、言ったほうがよいこと、などいろいろありますが、趣旨としては、当事者が話し合いに臨むための準備をしてあげること、調停人と当事者の信頼関係構築の端緒とすること、手続的な説明をすること、などが挙げられます。
 この「はじめの挨拶」は、調停機関や調停人によってそれぞれ工夫をこらされていて、調停人のスタイルが反映されるところになっています。
 以下、一般的にどのような流れになるのか、私自身の例を紹介させて頂きます。
 内容については、事前に伝えなければならないことなどを整理しておく必要があるでしょう。
1.氏名の確認、自己紹介
2.今日の流れの説明、合意書作成について
3.調停人の役割、調停の目的について
4.話し合いのルール
5.別席協議(コーカス)、調停人の交代、守秘義務について
6.話し合いの始まり(申込人から)
 まず、当事者の氏名等を確認し、本人であるかどうかを確かめます。ついで、自分の自己紹介とその背景(センターの調停人であることなど)を説明します。
 次に、今日の流れ、時間や休憩のことなどについて説明し、話し合いが上手く行った結果の合意書作成についても説明します。
 さらに、調停における調停人の役割や調停の目的について、三者間で齟齬がないように確認します。ここは当事者が理解しやすいような平易な言葉を選ぶようにします。
 特に、調停は任意の話し合いであるということ、相互理解が肝要であるということ、前向き・建設的に考える良いチャンスであるということ、調停人は話の進行役であり判断をする役割は担わないということ、調停人からの法的アドバイスはしないので必要があればご自身で専門家に相談されること、決断は自分でし、決断には文明人として責任を負うこと、などを私の場合は伝えるようにしています。
 また、話し合いのルールについても重要です。私の場合は、分かりやすいように事前に3つだけ約束をしていただくようにしています。これは、話し合いを進める上で、大切な事柄なので、ご自身で調停のスタイル等を考慮の上、決められたほうが良いと思います。
 最後に、別席協議(「コーカス」と呼ばれますが、私は使わないようにしています。)、調停人の交代、守秘義務についても忘れずに説明する必要があるかと思います。
 この辺は、所属のセンター等によってルールが異なってくるのではないでしょうか。
 以上が、一通りの流れになりますが、これを終えると、話し合いが始まりますので、通常は申込人から事情を伺うことになります。
 よく言われますが、当然のように申込人から事情を聴くと、ただでさえ呼ばれた相手側の方は不信感を懐きやすいので、調停人への信頼を損なわないためにも、一言「申し込まれた方から先にお話を伺いたいと思いますが、よろしいでしょうか」と相手側の方にお声をかけられたほうが良いかと思います。もちろん、当事者双方から十分にお話を伺います、ということは予めきちんとお伝えください。
 おおまかな紹介になりましたが、参考にされると幸いです。

2015年2月7日土曜日

船舶登記は登録免許税額を算出するだけでも一手間かかります。

 本日は、日本海事代理士会関東支部の研修に、午後から参加してまいりました。
 午前中は子どもの学校行事で出られませんでしたが、午後の船舶登記とSOLAS条約の講義には間に合い、受講することができました。
 船舶は、もちろん動産なのですが、登記の制度があって法律上は不動産に似た扱いをする側面があります。
 登記は私法上の権利関係を公示するのが目的なのですが、船舶の場合、行政上の管理監督を目的とする「登録」の制度もあるので、慣れないと混同しがちです。
 不動産の手続きをされたことがある方はご存知だと思いますが、登記をする場合、その登記の内容や不動産の価額によって登録免許税を払わなければなりません。
 この登録免許税額を確定するために、不動産であれば、固定資産評価証明書などを取得して課税価格を確認し、算出するのが通常です。
 船舶登記の場合も、やはり船舶の価額から登録免許税額を確定させるわけですが、これが慣れないとなかなか難しいのです。
 ズバリ、船舶価額の算式は、
[(総トン数×トン当たり船価)×特殊船増価率]×船価残存率×(1-特殊船減価率)×持分割合
 です([ ]内について限度額あり)。
 で、これに登録免許税率(例えば所有権移転なら28/1000)を乗じたものが登録免許税額になります。
 どうでしょうか。結構複雑ではないでしょうか。
 さすがに何度もやってるので(しかもそれなりに注意も払っているので)間違えることは無いと思いますが、仕事を依頼して頂く前に、お見積りをする段階でコレを計算する必要があるので、ちょっとした作業をしなければなりません。
 最初に学んだときはなかなか難しく感じました。
 お気づきのように、総トン数の情報が必要になりますし、昭和50年の法務省の通達を元に船舶の価額の算出表や船価残存率表を引っ張ってきて、そこでまた製造年月や経過年数、船質、用途などから値を確定する必要があります。
 と、いうわけで、船舶登記のご用命は、少なくとも登録免許税の計算のできる海事代理士に依頼されたほうが良いですよ!

2015年2月6日金曜日

学校の先生は学習指導要領に従わなければいけないのか

 学習指導要領ってご存知でしょうか。
 まぁ名前だけは聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。
 コレはいったいなんだろう、というのが今日のお話です。
 まず、「学習指導要領って何?」というところからですが、
 ズバリこれは「告示」です。
 そもそも、例えば小学校の場合、学校教育法29条に「目的」、30条、21条各号に「目標」が定められている、というお話は以前書いたと思います。
 そして、33条で、「小学校の教育課程に関する事項は、第29条及び第30条の規定に従い、文部科学大臣が定める。」としています。
 ここまでが法律です。
 それを受けて、文部科学大臣が学校教育法施行規則を制定し、その52条で、「小学校の教育課程については、この節に定めるもののほか、教育課程の基準として文部科学大臣が別に公示する小学校学習指導要領によるものとする。」としています。
 ここで初めて小学校の学習指導要領が出てきます。
 で、いわゆる国家行政組織法14条1項にいう「告示」として、文部科学大臣が学習指導要領を公示しているわけです。
 こういう話のことを、「法的根拠」といいます。
 では、本題の、学校の先生は学習指導要領に従わなければいけないのか、という話ですが、これは「学習指導要領に法的拘束力が認められるか」という論点になります。つまり、認められるなら従う義務がありますし、認められないなら従う義務がない(まぁ努力義務とかありますが割愛)ことになるわけです。
 結論から言うと、争われています。つまり、肯定派と否定派がいるわけです。当然といえば当然ですが・・・。
 否定派は例えば、学習指導要領自体が憲法に違反しているから当然に法的拘束力は認められない、という説(指導助言文書説)です。
 肯定派は、教育内容について適正・中立、均等化・一定水準の必要性、などから国の設定権限を認める、という見解です。
 では、実際にどうなっているのか、という話ですが、判例は、否定説の中の「大綱基準説」と採っていると考えられています。
 すなわち、学校教育法の規定から文部科学大臣は、地方自治を侵害せず教育課程編成権を不当に支配しないように大綱的な基準を定められるのであって、(一応権限は認めるが)現行の学習指導要領は細かすぎる、という立場です。
 これだけ聞くと「否定説なら法的拘束力がないから守らなくていいんだ~」となりそうですが、そういうわけではなく、法的拘束力自体は認め(必要かつ相当と認められる範囲内において、教育内容についてもこれを決定する権限を有する)、指導要領自体も「全体としてみた場合」「少なくとも法的見地からは」「必要かつ合理的な基準の設定として是認することができる」としています。これは、逆に言うと、内容によっては法的拘束力を持たないこともありうることを示していると言われています。
 結局、学説によって意見がわかれている、というのが現状で、裁判所もクッキリハッキリとは示していないようです。
 皆さんはどう考えられますでしょうか。
 ちょうど道徳についてパブコメが募集されているので、送ってみるのもいいかもしれませんね。

2015年2月5日木曜日

そもそもそれは工事なのか、工事だとしても建設工事なのか、建設工事だとしても軽微な建設工事ではないのか。

tatemono 建設業の許可と一口に言っても、実は業種は様々で、建設工事の種類によって28種類に分けられています。例えば、内装工事をするのと水道工事をするのでは、必要な許可が異なってくるわけです。

 その28種類の建設工事ですが、正確には2つの一式工事と26の専門工事に分けられます。 

 一式工事には、土木一式工事と建築一式工事がありますが、これらは、原則として元請業者の立場で総合的な企画、指導、調整の下に建築物/土木工作物を建設する工事であり、複数の下請業者によって施工される大規模かつ複雑な工事のことをいいます。

 この中には、複数の専門工事の組み合わせで構成される工事も含まれることになります。
 専門工事とは、工事の内容の専門性に着目して区分された個別の工事のことをいい、一式工事とみられる大規模、複雑な工事は含みません。つまり、単一の専門工事であっても、規模や複雑性から一式工事と判断される場合もあるということです。

 しかし逆に、一式工事の許可があっても、各専門工事の許可がない場合には、500万円以上(消費税込)の専門工事を単独で請け負うことはできません。

 だんだんこんがらがってきたような気がしますが、では、「受注した一式工事の中に、専門工事が含まれているが、その専門工事の許可がない場合」はどうすればよいのでしょうか。

 この場合、その専門工事の許可がなくても、次のような場合は施工することができます。
1)専門工事についての主任技術者の資格を持っている者を専門技術者として配置して施工する。
2)その専門工事について建設業の許可を受けている業者に下請けに出す。
 また、許可を受けた建設工事を請け負う場合において、その工事に附帯する他の建設業に係る建設工事は請け負うことができるとされています。

 このときの「附帯工事」は次のように解されています。
1)主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事
2)主たる建設工事を施工するために生じた他の従たる建設工事

 もちろん、「軽微な建設工事」については、許可がなくても施工することができます。
「軽微な建設工事」とは
1)1件の請負代金が消費税込500万円未満の建設工事(建築一式工事を除く) 2)1件の請負代金が消費税込1500万円未満の建築一式工事
3)主要構造部が木造で延面積の1/2以上を居住の用に供する、木造住宅で延べ面積が150㎡未満の建築一式工事
 ちなみに、一つの工事を2つ以上の契約に分割して工事の金額を下げる、というのは通用しません。また、注文者が材料を提供する場合は、その材料の市場価格又は市場価格+運送費を加えた額が請負金額と考えられます(つまり材料費含めた金額、という考え方)。

 工事の種類一つ取っても、結構複雑です。

2015年2月3日火曜日

港の中に船がたくさんいる場合に、船を安全に航行させ離着岸させる仕事ってご存知ですか?

yokohama
 東京湾をはじめとする、全国の港湾において、毎日たくさんの船が出入りし、人や貨物を運んでいます。
 広い外の海と違って、港の中は交通量が多く、衝突の危険もそれだけ高まります。
 どんなに経験豊富な船長でも、それぞれの港湾を知り尽くしているわけではなく、潮流が急だったり、浅瀬があったりという情報を持っていないことがありえます。
 そんなときに、その港湾それぞれに専門の人がいて案内をしれくれる人がいると便利ですし、安全・安心ですよね。

 水先法という法律では「水先人」という専門家を設け、全国35水域にそれぞれ配置しています。

 というわけで、タイトルの解答は「水先人」でした。
 ご存知でしたでしょうか。
 私は海事代理士になるまではこういう職業があることは知りませんでした。水先案内人、という言葉がありますが、まさにそのものですね。

 水先法という法律で定められているこの水先人ですが、業態としては個人事業主らしいです。まぁ水先人会に所属してつないでもらうという流れではあるらしいですが。
 昔は大きな船の船長経験が何年もないとなれなかったのですが、最近は制度が変わり学校の養成課程と国家試験でなれるそうです(海技免許や一定の乗船経験は必要)。
 1~3級の区別があり、それぞれ扱える船の種類や大きさが異なります。
 いずれにしても狭き門だとは思いますが、海や船にかかわる仕事はまだまだ未知の世界が多くて勉強になります。

 英語ではパイロットと呼ばれますが、飛行機のパイロット以外にも海のパイロットがあるんですね。