2015年2月23日月曜日

信号のない海の上の交通ルールはいったいどうなっているのか


maritime traffic rules 当たり前の話ですが、海上には陸にあるような3色信号機はありません。夜間航行などのときのために、船に取り付けなければならないライト(航海灯)などについては様々な決まりがあります。
 今日はそんなところのお話です。
 まず、航海灯ですが、海上衝突予防法で設置が義務付けられています。
 船の大きさなどにより灯火の色や数が異なってくるのですが、基本的には、船の中心線上にマスト灯(白色)、左舷と右舷には舷灯(右舷が緑で左舷が赤)、船尾には船尾灯が設置されます。
 全長50m以上の船(動力船)には、船の前部と後部にマスト灯をそれぞれ設け、後部の方を高くしなければなりません。
 また、小型船などは全周灯で代用することも可能だったりと細かく定められています。
 これによって、夜間などの視界が悪い時でも、船の方向がわかるようになっています。
 また、船同士の衝突を防止するために、航法も定められています。
 例えば、海上衝突予防法14条1項では、
2隻の動力船が真向かい又はほとんど真向かいに行き会う場合において衝突するおそれがあるときは、各動力船は、互いに他の動力船の左げん側を通過することができるようにそれぞれ針路を右に転じなければならない。(ただし書き以下略)
 と定めており、これは、お互いに正面から進んできたときは、どちらも右に舵を切りましょう、ということです。
 他にも、同15条では、
2隻の動力船が互いに進路を横切る場合において衝突するおそれがあるときは、他の動力船を右げん側に見る動力船は、当該他の動力船の進路を避けなければならない。(後半省略)
 と定めており、進路が例えば90度の角度で交差するようなときは、相手の船が右に見える方が舵を右に切るなどして回避する義務がある、ということになります。
 このように、船舶は基本的に右側通行、右側優先というルールになっています。
 追い越しをするときも、原則として右側から追い越さなければなりません。
 また、船の種類が異なる場合には、航行の自由度が低いほうが優先されることになっています。
 すなわち、故障して運転ができないような船は回避しようがないので、優先度が高いことになります。
 例えば、
優先度高←故障船などの運転不自由船>浚渫船など>操業中の漁船など>帆船>動力船→優先度低
 のようになっています(優先度の低いほうが回避義務がある)。
 いろいろ興味深いですね。