2015年3月12日木曜日

建設業において労働者を派遣することは基本的にNGです。

 建設工事において、よく「人工出し」という言葉が使われます。「人工(にんく)」とは、作業を行う上で作業者の手数を数える言葉で、ある仕事に対して要する人員数を表すのに用いられます。例えば、この仕事は何人工相当の仕事、というように使われます。
 特に建設工事の現場作業において、単純な労働力として見積もられる場合がありますが、これが単なる労務提供であり建設工事の完成を目的としてない場合には、建設工事の請負契約には該当せず、建設業法の適用がないことになります。逆に言うと、建設工事の実績としてはカウントできないので、専任技術者の実務経験等には利用できないことになります。
 なお、建設工事現場への労務提供を建設工事の請負契約として行わない場合には、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)違反の可能性がある事になります。
 すなわち、労働者派遣法4条1項では労働者派遣事業を行ってはならない業務について定めているのですが、その2号において、
建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。)
が掲げられているからです。
 したがって、「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」(労働者派遣事業)を建設業務においては行ってはならないことになります。
 ただし、「建設労働者就業機会確保事業」という厚生労働省の事業があり、この事業に基づいて厚生労働大臣から実施計画の認定を受けた建設事業主団体が、その実施計画の内容に従い労働者の送出を実施することに関しては認められています。